近年、日本でも急速に需要が高まっているボトルドウォーター。美しい水源を持つ大町にも、ボトルドウォーターを製造している会社があるのをご存知でしょうか?
日本一おいしい水を求めて。
まず始めに訪れたのは、アルプスウォーター株式会社。北アルプスの天然水から生まれたピュアウォーター「alpina(アルピナ)」をメインブランドとして製造している会社です。
大町工場は、一日平均2万〜2.5万本のボトルドウォーター(8ℓ・12ℓ・18.9ℓ)を製造する日本最大級のオールロボット工場。ただし、ここまでの道のりには紆余曲折がありました。
「最初は、親会社の株式会社トーエルでハワイの水を輸入・販売していましたが、流通の拡大と幅広い需要層を開拓するために国内の水源地を探していました。そして、日本一おいしい水として、たどり着いたのが、北アルプスの麓の大町でした。」
そう話してくださったのは、大町工場の中村健二取締役。
大町で採水するに当たり、幸運にも大町市から矢沢水源の余剰部分を使わないかという打診があり、水質・水量とも申し分ないということがわかり、この水源の水を利用しようということになりました。
そして、矢沢水源から3kmあまりのパイプラインを引いて取水することに成功。計画から2年後の2006年に大町工場が稼働しました。
【矢沢水源とは】
爺ヶ岳の山麓標高1220mにある水源。硬度12。一般の人が立ち入れない場所にあるため、カルキ臭となる化合物(硝酸態窒素および亜硝酸態窒素)の含有率は0.4。その水質の良さは県内他市町村の水源の中でも群を抜いている。1日900万リットル(25mプール30杯分)を取水。平地区の南側、大町地区の北側、常盤地区などの約5800世帯の水道水を供給している。
ピュアウォーターの商品開発
矢沢水源からの原水は、もともと硬度11〜13の軟水で不純物がほとんどなく、そのまま飲んでもおいしい水ですが、アルピナは、活性炭フィルターとミクロンのフィルターを通してあらかじめ不純物を除去したのち、ROシステムと呼ばれる逆浸透膜を通して浄化しています。これにより、一般の浄水方式では除去不可能と考えられていた超微細ダイオキシン・金属・ウィルス等も取り除き、安全で浸透性の高い水を作り出しています。硬度1未満の純水です。
「不純物が限りなくゼロに近いので、そのままはもちろん、料理の出汁や、お茶、コーヒーなどに使っても、素材の味が引き立ち、おいしく飲めます」
ROシステムは最先端の技術ですが、一方で、海外在住のお客様を中心に、原水のままの水を飲みたいという声も聞かれました。
そこで新たに商品化されたのが「信濃湧水」です。
パイプラインにより引水した原水を、活性炭や幾重ものフィルターを通して不純物を除去する非加熱処理を経てボトリング。さらに、48時間の培養のあと、細菌が存在しないことをチェックし、PH・電気伝導率・におい・味などの厳しい検査を経て問題ないことが確認された上で出荷に至ります。現在、シンガポール、香港、タイ、ベトナム、台湾など海外在住の日本人のお客様を中心に、愛用されているそうです。
「私自身も矢沢水源からの上水を飲んで育ってきて、毎日おいしいなと思ってアルピナを飲んでいます。息子も、普通ならジュースを欲しがる小学生の頃、水の方がいいと言って飲んでいました」と中村さん。
大町市民が誇るおいしい水が、今日も、全国そして、世界へと送られています。
信州の天然水を流通させるために。
次に訪れたのは、北アルプスの豊かな自然の中で汲み上げた天然水をボトリングしているAW・ウォーター信濃大町工場。敷地内(地下200m)から掘り出した井戸の水を非加熱処理で除菌し、「北アルプスの天然水」として商品化しています。
2013年に大町工場を設立したAW・ウォーター。どうして、採水地として大町が選ばれたのでしょうか?
工場長の鴨志田和彦さんにお話を伺いました。
当時、市場には、水道水をRO膜(逆浸透膜)によりろ過して不純物を除去して純水にした上でミネラルを添加してミネラルウォーターとして販売しているものが数多くありましたが、時代の流れとして、RO膜を通さない「天然水」のニーズが高まっていたそうです。
そして、エア・ウォーターグループの名誉会長であった青木弘氏が、長野県松本市出身ということもあり、“なんとか信州の天然水を流通させたい”と、採水候補地を検討した結果、2013年4月に信濃大町工場の操業に至りました。
「ここの天然水は、硬度33で、同じ天然水と比べても、さらっとしてとても飲みやすいです」
前任地が北海道だったという鴨志田さんは、信濃大町の天然水の魅力をそう教えてくれました。
地下200mから汲み上げた信濃大町の天然水は、北アルプスの雪解け水が花崗岩や変成岩などの砂礫層を長い年月をかけて濾過された、大自然が育んだ美しい水。手を加えなくても充分に飲める水ですが、AW・ウォーターでは、お客様に安心・安全な水を提供したいと、徹底的な品質管理を行っています。原水は、充填するまでに、4回の非加熱除菌処理を行い、充填の後、厳しい検査を経て商品として出荷されています。
モンドセレクション【最高金賞】受賞!
こうした徹底的な品質管理を経て生まれたAW・ウォーターの「北アルプスの天然水」は、モンドセレクション【最高金賞】を2014年から3年連続で受賞しました。
さらに、2016年には【iTQi優秀味覚賞(三ツ星)】を受賞し、業界初の同時W受賞となるなど、世界的に権威のあるコンテストで認められました。
現在、1日4000〜6000本(12ℓ、7ℓ)のワンウェイボトルを製造する大町工場。井戸の湧水量は大変豊富で、水質も抜群なため、これまで北海道と埼玉県にあった2つのRO水の工場を2017年10月に閉鎖し、信濃大町工場に集約して再スタートしました。
豊富な水源を余すことなく使うために、製造ラインの増強が課題とのこと。
「北アルプスの天然水」は、今後、益々発展の可能性を秘めています。
INFORMATION
名 称 | アルプスウォーター株式会社 |
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住 所 | 大町市平2651-5 |
電話番号 | 0261-23-6898 |
HP | https://www.toell.co.jp/business/water_service.html |
名 称 | AW・ウォーター株式会社 |
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住 所 | 大町市大町3500-1 |
電話番号 | 0261-26-3330 |
HP | http://aw-water.com/ |