豊かな川魚を育む理想的な釣り場と養魚場
1mを超えるイトウや70〜80cmクラスのニジマスが釣れることで有名な管理釣り場・鹿島槍ガーデンは、爺ヶ岳スキー場と鹿島槍スキー場の中間にあります。
鹿島川の清冽な水がそのまま注ぎ込む13,000坪の広大な敷地には、3つの池からなる自由釣り場と、女性や子供も手軽に釣り体験が楽しめる規定釣り場と渓流釣り場、そして養魚場、さらには、釣った魚を炭火で焼いて食べられるバーベキュー施設が揃います。
シーズンには、平日・休日を問わず、多くの愛好家がリピート利用する釣り場は、「ルアー釣り界の王様」と呼ばれ、日本を代表するフィッシングデモンストレーターである村田基(はじめ)さんの折り紙付き。村田さんは、大物を育むこの釣り場の水質の良さを絶賛し、取材のために年に5、6回は訪れるそう。近年では全長91cm、重量12kgのレインボートラウト(ニジマス)を釣りました。管理釣り場では日本一の大きさです。
決め手は、「水の良さ」
鹿島槍ガーデンは、1971(昭和46)年、矢野口さんが28歳の時に開業しました。矢野口さんは、穂高町(現安曇野市)出身。穂高で養殖の仕事をしていましたが、ルアーフィッシングの釣り場を開きたいと、県内各地で候補地を探しました。そして、鹿島川水系の水の良さにひかれ、結婚したばかりの奥様・明子さんとともに、大町市への移住を決意したそうです。
「いろいろな川魚を食べたけれど、一番うまい魚は、鹿島川水系の魚だった」
矢野口さんはそう言い切ります。鹿島川は北アルプスで100年ほど前に降った雪の雪解け水。水温は一年を通して15℃以下を保ち、上流部に人家や耕作地がないことから、家庭雑排水やチッ素・リン酸・カリウムが混ざっていないことが特長です。夏でも15℃を保つという水温の低さは、管理釣り場に放流される魚(ニジマス、ブラウントラウト、イトウ)などの生育にとって最適な環境だといいます。
「水温が低いから身が締まり、脂が均一に魚体に乗り、食べておいしい魚に育つ。海の魚と比べても、身のしまりが違い、臭みがありません。」
それまで海釣りをやっていた人が、ここの川魚のおいしさを知って、海釣りを全くやらなくなったというエピソードも。
川魚の魅力を全国のお客さまに届けたい。
矢野口さんは夫婦二人三脚で、観光釣り場と並行して、信州サーモン※、イワナ、ニジマスなどの養殖・加工も行っています。
燻製や甘露煮などの加工を担当するのは奥様の明子さん。「岩魚郷」ブランドとしてインターネットを中心に販売している商品の品質の良さはピカいち。
都内の有名デパートでも一目置かれるお土産品です。
※信州サーモンとは、長野県水産試験場が開発したニジマスとブラウントラウトの交配種。サーモンを思わせる銀色の体と紅色の身が特徴です。平成16年ごろから養殖を開始。鹿島槍ガーデンでは、県内のレストランやホテルなどへ卸しています。
「そもそも、川魚の加工なんて、やったことがなかった」
そう振り返る明子さん。子育ての傍ら、あちこちで加工品を食べ比べ、知人を介して燻製や加工の方法を教わったりしながら、“食べておいしい”商品の開発に至りました。
あるとき、銀座NAGANOで行われた信州の郷土料理のイベントで、岩魚の甘露煮を提供したところ、“よそとは違う、上品な甘さ”が人気で、どこで買えるのかと、問い合わせが続出したそうです。
そのおいしさの秘密は、白砂糖ではなくザラメと小布施の栗みつを使うこと、そして、添加物を使っていないこと。
「人工甘味料や添加物を使うと保健所の検査が必要になる。それが面倒くさくて、添加物は一切使っていないんです。」
と、はにかみながら答えてくださった明子さん。信州サーモンは、お刺身、冷燻製、パストラミ、甘露煮のほか、日本古来の味噌と酒粕を混ぜたものに漬けたところ、おいしくできたので、商品化の最中とのこと。
信濃大町の川魚の魅力を、いろいろな形で発信してきた矢野口夫妻の奮闘は、まだまだ続きます。
INFORMATION
名 称 | フィッシングランド 鹿島槍ガーデン |
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住 所 | 大町市大字平鹿島8589 |
電話番号 | 0261-22-8854 |
HP | http://kashimayari-garden.com/ |